副理事長挨拶

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副理事長 富田 博樹
副理事長 富田 博樹

価値観の多様化した現代において、倫理的な判断を迫られる臨床の現場での、悩みや戸惑いは、個人の努力では解決が極めて困難な状況になっている。

本学会は、このような悩みを持った人々が集まり、様々な意見を交換し、現代における倫理についての合意できる部分が、少しでも広がっていくことに役立つ場となることを願うものである。


副理事長 稲葉 一人
副理事長 稲葉 一人

臨床倫理学会において、法律家(元判事)である私が、果たしてこの重責を担うことは適当なのか逡巡しましたが、理事長のご指名ですので、清水先生の後を受けて2020年から本役職に就くことになりました。これまで、学会では、倫理教育委員会長として、諸先輩や総務担当の箕岡先生と協力しながら、臨床倫理認定士(基礎編・上級編)コース運営等に携わって参りましたが、今後は副理事長(教育担当)として役割を果たしたいと思います。

私は多くの倫理(外部)コンサルテーション活動を病院・地域でしていますが、どれ一つをとっても簡単な事例はなく、常に「臨床倫理」とは何かを、仲間と一緒に問い続けています。ことに、2020年初頭からのコロナ禍の中で、ともすると、現場はこれまで以上に「倫理」を話しにくい雰囲気に満ちていますが、逆説的ですが、だから「倫理」が求められていると思います。これまでも大事にしてきた、そして今後も大事にしたいルールをここで確認しておきます。① この学会の生命線は、「臨床(現場感覚)」です。② しかし、それは臨床を無条件に肯定するのではなく、「倫理的な臨床、倫理的感性を持つ臨床家(医療者・介護者)」を支えることです。③ 他方、臨床的な志向は、現状維持的な解決となりますが、より倫理的・普遍的な対応を考えることも必要です。④ そして多職種の対等な関係性です。

その上で今後を考える方向を示したいと考えています。それは、臨床倫理問題は急性期の病院だけではなく、慢性期、リハビリの現場でも、施設でも在宅でも地域でも問われており、これまでの倫理の原則だけではなく、医療資源の適正配分や、意思決定支援の方法など、多くの知恵を集結しないといけないということです。 学会を通じたこれらの活動により、医療者・介護者を支え、ひいては、患者・家族を支えるため何ができるかを、皆さんと一緒にとことん考えていきたいと思います。


副理事長 箕岡 真子
副理事長 箕岡 真子

2025年3月、副理事長を拝命いたしました。現在は、これまでの任、総務担当理事との兼務となっております。
自己紹介に代えて、これまでの日本臨床倫理学会の歩みを振り返ってみたいと思います。
日本臨床倫理学会は、「1つ症例において診断・治療・予後と同様に、倫理的に考慮することは欠かすことのできない医療の本質的な要素である」という信念のもと、「日常臨床の実践に基づいた倫理を創る」ことを目的として、2012年(平成24)5月、新しい学会創設の準備を開始いたしました。当初は、わずか50名の発起人と共に、同年9月29日に東京国際フォーラムにて発起人集会を開催いたしました。現在の会員数2817人を見ますと、多くの皆様に賛同していただいたことに改めて感謝の意を表しますとともに、たいへん感慨深い思いがあります。
日本臨床倫理学会の創設以来、さまざまな分野の臨床倫理、例えば、「終末期医療の倫理」「DNARの倫理」「認知症ケアの倫理」「摂食嚥下障害の倫理」「介護(高齢者ケア)倫理」などが、学問として体系化されてまいりました。2016年には、臨床現場における倫理的問題をよりよい方向に解決するために臨床倫理認定士の研修が開始され、現在では1728名の臨床倫理認定士が誕生し、全国の医療機関において、倫理コンサルテーションや倫理委員会で指導的な役割を果たしております。さらに、2019年には上級臨床倫理認定士の研修も始まり、現在308名の上級臨床倫理認定士が誕生しております。学会員の皆様から寄せられた臨床倫理に関わる問題の解決に向け、上級委員会が事例検討会を開催し、助言を行っております。

また、さまざまなワーキンググループが活動し、成果を出しています。これまで
①DNAR指示に関するワーキンググループ、
②「認知症の人が参加する研究倫理」に関する提言、
③認知症や意思疎通が困難な人の新型コロナワクチン接種のための意思決定の手引き、
④高齢者の慢性疾患における緩和ケアのWG、
そして、現在、⑤「介護倫理」に関するWG、⑥「医療ケアにおける代理意思決定者に関する提言」のためのWGが活動中です。

今後も、臨床倫理認定士研修やワーキンググループなどの活動が円滑に行われるよう、精一杯頑張っていくつもりです。会員の皆様のご協力、ご支援をお願い申し上げます。